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花はどこへ行った

Where Have All the Flowers Gone
コスモスレコーズ / CMCA2033/ 2023年10月4日発売(予約受付中)
3,000円(税抜)

愛と平和をピアノで弾き語る珠玉の名曲たち。
コロナ下でうたった。ウクライナを思いながらうたった。
長島愛生園でキヨサクとデュエットした《小さな恋のうた》収録。

11月23日(木)岡山/天神山文化プラザ
「沢知恵コンサート2023 withともえゴスペル&コーラス」
15:00開演 前売り4,000円 当日4,500円
全席自由  /  主催・お問い合わせ:コモエスタ メール

TRACKLIST:

01 愛は花、君はその種子(Amanda McBroom 詞・曲/高畑勲 日本語詞)
02 花はどこへ行った(Pete Seeger 詞・曲/忌野清志郎 日本語詞)
03 いのちの歌(MIYABI 詞/村松崇継 曲)
04 終わらない夏の恋(沢知恵 詞/曲)
05 求婚の広告(山之口貘 詩/沢知恵 曲)
06 だましてください言葉やさしく(永瀬清子 詩/沢知恵 曲)
07 若者のすべて(志村正彦 詞/曲)
08 今日もまた(山口シメ子 詞/近藤宏一:曲)
09 愛生園挽歌(黒川眸 詞/光岡米造 曲)
10 小さな恋のうた with キヨサク(上江洌清作 詞/MONGOL 800 曲)
11 虹~Singer~(さだまさし 詞/曲)


“Alone, but not lonely”…

届いたCDに添えられた直筆の手紙は、そんな言葉で締めくくられていた。それは、音楽家としての彼女の姿勢を改めて表明したもののように見えるし、あるいは、2人の子供が巣立った彼女自身の現在の心境のようにも思われる。が同時に、私とあなたに向けられたメッセージ、あるいは抱擁のようにも感じられた。そう、この新作を聴きながら、今確かに私は沢知恵に抱きしめられている。「大丈夫、あなたはあなた、そのままでいいのよ」という彼女の声が聞こえる。

心臓をゆさぶるまっすぐな眼差し、そしてまっすぐな言葉。誰よりも言葉に真剣に向き合い、言葉を信じ、言葉を愛してきた歌い手ではあるが、歳を重ねるごとにその表現は柔らかさを増してきたように感じる。だからこそ、今、彼女の言葉は歌い手の元から解き放たれ、穏やかに降り注がれる木漏れ日のようになっているのだろう。

今回も、ラヴ・ソングからプロテスト・ソングまで内外のすぐれたカヴァー曲や、現代詩人の作品に自分でメロディを付けた曲、あるいはハンセン病療養所の歌まで様々な曲が収録されているが、ここではもはや誰が作ったのか、どういう背景があるのかといったこととは関係なく、すべての歌/言葉が“詠み人知らず”であるように私には感じられる。そして、それは歌/言葉にとって、きっと幸福なことなのだろうとも思う。

聴き終わった時、余韻として私を包み込んでくれたのは、すべての生を慈しみ肯定する彼女の微笑みだった。

松山晋也(音楽評論家)

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