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われ問う

Asking Myself
コスモスレコーズ / CMCA2031 / 2015年
3,000円(税抜)

TRACKLIST:

01 六月(茨木のり子:詩/沢知恵:曲)
02 虫のこえ(作者未詳)
03 われ問う(沢知恵:詞/曲)
04 瀬戸の花嫁(山上路夫:詞/平尾昌晃:曲)
05 こたえを待って(沢知恵:詞/曲)
06 星一つ(金素雲訳編『朝鮮童謡選』岩波文庫より/谷川俊太郎:朗読)
07 誰も知らない(谷川俊太郎:詞/中田喜直:曲)
08 怒るときと許すとき(茨木のり子:詩/沢知恵:曲)
09 愛情60(金子光晴:詩/中川五郎:曲)
10 白菊によせてー死刑囚のねがい(M.F.:詩/沢知恵:曲)
11 いつくしみ深き(ジョセフ・スクライヴェン:詞/チャールズ・コンヴァース:曲)
12 世界はふしぎ(沢知恵:詞/曲)
13 イマジン(ジョン・レノン:詞/曲)
14 福笑い(高橋優:詞/曲)


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岡山に移住したことは、私にとって、人生最大のバンジージャンプでした。えいやっ!ってね。その1年後に発表したのがアルバム〈われ問う〉です。ちょうど戦後70年にあたる2015年でした。例によって、ラカーニャなどでうたいためたうたの「記録 record」です。東日本大震災のあとに出した〈一期一会㈼〉以後のうたということになります。公私ともに、心の動きがいっぱいあった数年間でした。いまこうして聞くと、1曲1曲がずっしりと、そしてやさしく響いてきます。

茨木のり子の詩《六月》には、あっというまに曲がつきました。われながら名曲だと思うけど、どうかしら。いつも自画自賛でごめんなさいね。譜面に書かないし、一瞬で曲がおりてくるので(それまでが長いんだけど)、「作曲」している気がしないんです。ことばの響きが、このリズムとメロディーとハーモニーを導き出してくれたとしか思えません。うたうたび、私の心は岐阜県恵那市の串原に飛んでいきます。「男も女も大きなジョッキをかたむける」「若者のやさしいさざめきで満ち満ちる」「同じ時代をともに生きる」「したしさとおかしさとそうして怒りが 鋭い力となって たちあらわれる」この詩そのものである「山のハム工房ゴーバル」に、いつか機会があったらぜひ遊びに行ってみてください。おいしいハム・ソーセージを食べてみてください。

《われ問う》は、私が高校生のとき、毎週家で英語を教えてくれた父方の祖父と交わした会話がもとになっています。祖父は英語教師として満州の大連一中につとめていた戦争末期に徴兵され、戦後はソ連の捕虜として労役し、ガリガリにやせて帰還しました。「おじいちゃんほどの人が どうして戦争を止められなかったの?」無邪気な私の問いに祖父は、教科書をひざに置き、静かにこう言いました。「ここまでなら大丈夫と だまって見ているうちに 気づいたら 何ひとつ自由に ものを言えなくなっていた。」そうなんだあ。それが戦争の現実なんだあ。衝撃を受けました。いま私は大丈夫だろうか。子どもや孫に将来問われたとき、なんと答えたらいいのか。幼ない子どもたちの寝顔を見ながら、このうたは切実な祈りとして生まれた気がします。ライブでうたったら、自然に《We Shall Overcome》につながりました。アルバム発表後、東京新聞で連載していたフォトジャーナリストの山本宗補さんの写真が忘れられなくて、ユーチューブでのコラボをしようと持ちかけ、菅井康博さんに作品にしてもらいました。多くの方に見てもらえて、あちこちでカバーしている人もいるみたいで、うれしいです。

ひょんなことから、谷川俊太郎さんが朗読で参加してくださることに。谷川さんは、母方の祖父、金素雲の『朝鮮童謡選』から影響を受けて、子どもの詩をつくったり訳したりしたそうです。なんと、そのうちのひとつをパクッて、NHK「みんなのうた」第1号の《誰も知らない》をつくったというではありませんか。谷川俊太郎、盗作か! ご本人は「本歌取り」なんて上品におっしゃるけれど。「罪滅ぼしに、孫の私のCDに参加してください」と言ったら、笑顔で快諾してくださいました。

アルバム・ジャケットは、キヨサクさんにアートをお願いし、沢田節子さんにデザインしてもらいました。モンパチのアート・ワークが大好きで。キヨサクさんはあのハイヒールを「しまむら」で買って、新聞記事を貼りつけたのだそうです。残念ながら、私の大きな足は入りません(笑)。

マイ・ベスト3

1 怒るときと許すとき 茨木のり子:詩/沢知恵:曲
この詩をおさめたくて、このアルバムをつくったのかもしれない。茨木のり子の「フェミニズム」をうたったあと、永瀬清子へと導かれた気がします。

2 こたえを待って 沢知恵:詞/曲
ずいぶん前につくったうたなんです。久しぶりに取り出したら、力が抜けて、いい感じに。自分でつくったラブソング、好きです。

3 いつくしみ深き ジョン・スクライヴェン:詞/チャールズ・コンヴァース:曲
日本、韓国、アメリカで幼いころからうたってきました。そんなに好きな賛美歌ではありませんでした。スタンダードだよね、みたいに。東日本大震災のあと、このうたの力強さが迫ってきました。「悩みかなしみに 沈めるときも 祈りにこたえて 慰めたまわん」わが友。このあと、《雨ニモマケズ》につながっていきました。

Tomoe

沢 知恵「われ問う」×山本宗補「戦後はまだ…」

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