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トモエ・ミーツ・みすゞ

トモエ・ミーツ・みすゞ

Tomoe Meets Misuzu
cosmos records/CMCA 2008/2001年(初リリース 1999年)
1,800円(税別)

童謡詩人 金子みすゞの詩に出会い、沢 知恵が曲をつけた名作品集。
沢さんの歌は楽しいびっくり箱です。聞くたびに「日本語にこんなに素敵な言葉があったんだ!」とうれしい驚きが飛び出してきます。ピアノとあとほんの少しの楽器と沢さんの声に運ばれて、言葉にこめられた思いが時と所を越えて伝わってきます。沢さんはきっと地球がくるくる回る動きを感じながらうたっているのでしょう。そしてこれからも、火山からマグマが噴き出し、青虫がキャベツをかじり、梢の木の葉が風にふるえるような詩をうたい続けてくれることでしょう。(音楽評論家・北中正和)

Tracklist:

01 暦と時計 (金子 みすゞ:詩/沢 知恵:曲)
02 不思議 (金子 みすゞ:詩/沢 知恵:曲)
03 みんなを好きに (金子 みすゞ:詩/沢 知恵:曲)
04 蜂と神様 (金子 みすゞ:詩/沢 知恵:曲)
05 あるとき (金子 みすゞ:詩/沢 知恵:曲)

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5曲しか入っていない小さなアルバムですが、私にとって、ことばと音楽両面でターニングポイントになった大きな作品です。

アルバム〈こころ〉〈いいうたいろいろ〉が出て、韓国で戦後初めて公式に日本語でうたい、レコード大賞アジア音楽賞を受賞した1998年。その次の年に発表しました。祖父、金素雲が訳した朝鮮の詩《こころ》をきっかけに、私はうたいたい日本語を求めてセンサーを全開にしていました。当時まだ友人で、のちに夫になった人の引っ越しを手伝いに行ったら、部屋の隅に本のかたまりがくくってあって、全部の背表紙に「金子みすゞ」とありました。手を休めて眺めていると、「それごと持っていきなよ」と気前よくくれました。

家に帰ってひもをほどき、ページをめくり始めたら止まりません。ドキドキしました。まるでゴムまりのように弾むことば。ほとんどひらがなです。活字が浮き出して、いまにも踊り出しそう。明るく無邪気で、親しみのあることば。なのに、最後にズシンとつき落とされてドキッとしたり、かげがさしたり。いったいいつの人? どこの人? 奥付を見てびっくりしました。1903年山口県生まれで、1930年に26歳で自らいのちを絶ったとは。それほど昔のことばには思えなかったのです。つい最近つくられたと言われてもおかしくない新鮮さを感じました。

ピアノの練習の合間に、譜面台に詩集を広げ、声に出して読んでみたら、いくつかの詩に曲がつきました。ことばの響きそのままに。しばらく金子みすゞにハマってしまい、故郷の山口県はいまの長門市仙崎まで遊びに行ったっけ。金子みすゞと同じ空気、風、においを感じたくて。小さな漁師町にはやさしい風が流れていて、まちのあちこちから、金子みすゞの世界観、宇宙観が感じられました。「みすゞグッズ」がいろいろ販売されていたけど、「みすゞまんじゅう」や「みすゞせんべい」だけは作らない、と地元の人が真顔で言っていたのがおかしかったな。愛すべき金子みすゞは、食い物にしてはいけないそうで。いまはあったりしてね。

金子みすゞの詩には、「神さま」が出てきます。《蜂と神さま》の全文です。

蜂はお花の中に、お花はお庭のなかに、お庭は土塀のなかに、町は日本のなかに、日本は世界のなかに、世界は神さまのなかに。さうして、さうして、神さまは、小ちやな蜂のなかに。

《みんなを好きに》は後半だけを。

私は好きになりたいな。誰でもかれでもみいんな。お医者さんでも、烏でも、残らず好きになりたいな。世界のものはみいんな、神さまがおつくりになったもの。

金子みすゞの「神さま」と私が信じる神さまはちがいます。私が「神さま」とうたうとき、もちろんアニムズムにも共鳴しますが、直接的にはキリスト教の神さまを思います。でも、そこに矛盾はありません。多神教でも一神教でも、「私の神さま」をうたっていい、とみすゞの詩はゆるしてくれる気がするのです。もはやこの2曲は、私にとって大事なゴスペルソングになっています。いつか「ともえゴスペル&コーラス」でやってみようかしら。

金子みすゞを皮切りに、その後私は、茨木のり子、塔和子、永瀬清子の詩をうたうようになりました。女性の詩は、私が言いたいこと、言いたくても言えないこと、言いたいと気づきもしなかったことをことばにしてくれています。うたうことで、深く慰められ、励まされます。

マイ・ベスト3

1 あるとき 金子みすゞ:詩/沢知恵:曲
母になったいま、きげんよくすごすことの難しさを知り、こうして聞くと、またちがう味わい。子どもは母さんが大好き。ときにかなしいほど。

2 不思議 金子みすゞ:詩/沢知恵:曲
一番はじめに曲がついたのがこれ。最後のサンバのリズムにのせたラップは、いろんな声が出せる特技を生かして遊んじゃった。大山のぶ代のドラえもん、いまの子どもにはわからないかもね。ふふふ。パーカッションのアレックス・アクーニャは天才!

3 蜂と神さま 金子みすゞ:詩/沢知恵:曲
この曲だけ東京でのライブテイクで、あとはロサンゼルス録音です。「みつ・えいじ&ともえ」の同じえいじでも佐藤英司さんにかわり、あついドラムスを叩いてくれました。はじめの「ブ~ン」は、蜂が飛んでいる様子。私がハエたたきかなんかで、ペシッてやった記憶が。笑いが起きたのはそういうこと。この詩は琉球音階以外ありえなかったな。

Tomoe

1998年頃
(c)Shinji Sawada 1998

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